[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2014/12/10)

地銀再編とローカル経済再生の結びつき

 藤原 裕之((一社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
  • 無料会員
  • A,B,C,EXコース

相次ぐ地銀の再編

 ここにきて地方銀行の再編が相次いでいる。11月10日に肥後銀行と鹿児島銀行という県のトップ行同士の経営統合が発表された。続く11月14日には、地銀の代表格である横浜銀行が東日本銀行との経営統合を発表した。いずれも地銀のトップ行が絡んだ動きである。

 地銀は全国に105行がひしめく乱立状態にあり、かねてから再編の必要性が指摘されていた。04年の北海道銀行と北陸銀行の経営統合(ほくほくフィナンシャルグループ)、07年の福岡銀行、親和銀行、熊本銀行の経営統合(ふくおかフィナンシャルグループ)など、これまでも県を超えた地銀の再編があった。当時は不良債権問題を抱えた銀行に対する「救済型」が中心であったが、今回の再編の流れは、長期的な視野に立った持続可能性を問うものである。足元の業績は好調であっても将来はこの延長線上にはない、との危機感が背景にある。

 金融庁も2014年度から検査の内容を、これまでの資産査定中心のB/S型検査から貸出など事業の収益性に主眼を置いたP/L型検査に移行しているようである。バブル崩壊後はB/Sの健全性が何より優先されたのは当然だが、不良債権問題が一巡した現在、貸出先の収益性・将来性に重点を置いた検査スタイルは極めて妥当と言える。

人口減が突きつける課題

 地銀の中には過去最高の業績を打ち出す銀行も出ているが、それでもなお危機感を持たねばならない背景には「人口減」による地域経済の縮小がある。人口減による影響は預金サイドに顕著に表れている。都道府県別に生産年齢人口(15-64歳)の増減率と個人預金残高の増減率の関係をみた場合、両者には一定の相関性が認められる(図表1)。

図表1 都道府県別にみた個人預金と生産年齢人口(2008-2014)


 


   ■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)
略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現国際投信投資顧問)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

※詳しい経歴・実績はこちら


 

続きをご覧いただくにはログインして下さい

この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます。

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事

アクセスランキング