[藤原裕之の金融・経済レポート]
(2015/03/04)
景気回復の波に乗れない地方 ~地域密着型産業の強化が急務
昨年の衆院選で安倍総理は「景気回復の実感を全国津々浦々まで」と力説したように、3年目に入ったアベノミクスのメインテーマは地方創生である。景気回復の波に乗り切れない地方の現状を深刻に捉えた結果とみられる。
バブル崩壊以前の地方経済は大企業・都市圏の回復に依存する「春待ち型」であった。筆者は東北出身であるが、周囲が勧める就職先と言えば決まって全国ネットの大手企業であり、地元企業ではなかった。地域振興の中心はあくまで企業誘致であり、地元の企業を真に育成・自律させようとする動きは少なかった。
しかし、周知のように、経済のフラット化で生産拠点が海外にシフトし、これまでのように大企業の収益が上がっても地方へのトリクルダウンは発生しづらくなっている。大企業から中小企業、都市から地方へのルートが断たれる中、従来型の企業誘致を中心とする成長モデルでは地域経済の自律的な好循環は望めない。欧米の地域振興のように、地域の人々が直接参加、関与し、新しい事業・製品・市場の拡大を図っていくスタイルに移行しなければならない。そのためには、地域を基盤とする内発型産業、すなわちサービス業を中心とする地域密着型産業の強化が急務となっている。
■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)
略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現国際投信投資顧問)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
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