日経平均株価が新年に入って1990年2月以来の3万5000円台を回復し、株式市場の関係者の視線は、いつ最高値を更新するかに移っている。2022年4月に東京証券取引所が市場区分を変更したことも、相場にメリハリが出てきた一因だろう。一方で200余りの企業が上場廃止を迫られるかもしれない問題に直面している。上場維持に向け、経営統合などを選択する企業も出てきそうだ。
- <目次>
- 経過措置はあと1年2カ月
- スタンダード暫定組は204社
- 放置していれば上場廃止に
- 監理銘柄指定から半年で上場廃止
- 経営統合などで上場維持を
経過措置はあと1年2カ月 市場区分の変更は「看板を付け替えただけだ」などと受け止められることも多いが、東証は市場運営に関して新たに2つの考え方を取り入れた。1つは市場間の上下関係をなくしたこと、もう1つは上場基準と上場廃止基準に差を設けず、「上場維持基準」として一本化したことだ。
この結果、上場基準すれすれで株式を公開している中堅クラスの上場企業は新たなハードルに直面している。従来のように第1部の上場基準を満たせなくなったら第2部に「指定替え」されるといったことがなくなった。つまり、第1部の後継の東証プライム上場企業でも、プライム市場の上場維持基準を満たせなくなれば、上場廃止になってしまうのだ。
上場廃止の可能性がある企業の数は少なくない。旧東証1部に上場しながら、プライム市場の上場維持基準を満たしていない企業の多くは、市場区分の変更時にスタンダード上場を選択しただけでなく、東証が2023年に無審査でスタンダード市場に移れる特例措置を設けたこともあって、かなり上場先を変えてきた。
それでも東証によると、2023年12月15日現在でなお111社が、プライム市場の上場維持基準を満たしていないのに、
■ 筆者履歴
前田 昌孝(まえだ・まさたか)
1957年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年に証券部に配属。97年から証券市場を担当する編集委員。この間、米国ワシントン支局記者(91~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。日経編集委員時代には日経電子版のコラム「マーケット反射鏡」を毎週執筆したほか、日経ヴェリタスにも定期コラムを掲載。 22年1月退職後、合同会社マーケットエッセンシャルを設立し、週刊のニュースレター「今週のマーケットエッセンシャル」や月刊の電子書籍「月刊マーケットエッセンシャル」を発行している。ほかに、『企業会計』(中央経済社)や『月刊資本市場』(資本市場研究会)に定期寄稿。