[Webマール]

(2024/11/06)

「日本の上場企業は今後10年で半減へ」――カナメキャピタルの投資活動

トビー・ローズ(カナメキャピタル CIO)
槙野 尚(同 Head of Research)
上中 直(同 Principal)
  • A,B,C,EXコース
左から槙野尚氏、トビー・ローズ氏、上中直氏

左から槙野尚氏、トビー・ローズ氏、上中直氏

日本において、アクティビストの存在感が増している。米国発のアクティビスト・ファンドとみなされることもあるカナメキャピタルは、投資先の「対話への受容性」に応じて、エンゲージメントの仕方を柔軟に変化させる投資スタイルを採用している。同社の投資哲学、経営実態のほか、近年の日本の資本市場改革に関する意見を聞いた。
「エスカレーション」を行うファンド

―― カナメキャピタルとはどういったファンドなのですか。設立の経緯も含め、教えてください。

トビー 「カナメキャピタルは2018年にエリック・アイコニクスと私の2人で設立しました。我々はボストンを拠点とする機関投資家であるGMO(グランサム・マヨ・バン・オッタールー)で15年間ともにバリュー投資を手掛けてきました。日本でガバナンス改革が進む中、より中小型上場企業に特化した投資を行いたいと考えて独立しました。

 日本には約4000社の上場企業がありますが、そのうち約8割の3200社は証券会社にほとんど調査カバーされておらず、いわば市場で放置されている状態です。それゆえにバリュエーションは非常に割安です。我々の当初の投資スタイルはスクリーニングツールを駆使し、その3200社の中から特に質の高い企業25社程度に集中投資を行うというものでした」

―― そこからなぜエンゲージメントの進展がないときに企業との対話を強化する「エスカレーション式のファンド」を目指したのですか。


■トビー・ローズ(Toby Rodes)
ドレスナー・クラインオート・ベンソン及び日興ソロモン・スミス・バーニーの東京オフィスにて日本株のリサーチを担当。10年間の日本居住を経て、米ボストンのグランサム・マヨ・バン・オッタールー(GMO)に参画。同社では大型株ファンド及び中小型株ファンド合わせて約40億ドルの日本株ポートフォリオを運用。2018年にKaname Capitalを設立。

■槙野 尚(まきの・なお)
2012年東京大学法学部卒業後、モルガン・スタンレーMUFG証券にて株式調査を担当。14年からみさき投資にてエンゲージメント投資に携わった後、22年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。同年から現職。論文に「創業家持分が多い企業のガバナンス」(みずほ証券資本市場アップデート)など。

■上中 直(かみなか・すなお)
早稲田大学商学部卒業後、アクセンチュア、及びKPMG FASにて多様な業界に対するコンサルティング・M&Aアドバイザリー業務に従事。その後、複数のプライベート・エクイティ・ファンドにて、バイアウト投資業務に従事。特にヘルスケア・IT・製造業セクターに知見を有する。2024年から現職。

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