横浜キャピタルはコンコルディア・フィナンシャルグループ(コンコルディアFG)傘下の横浜銀行のグループ会社として設立された投資会社。当初は自己資金によるベンチャー投資から事業をスタートしたが、近年はベンチャーキャピタルファンド、
バイアウトファンド、上場企業の私募増資を引き受けるPIPEs投資ファンドなどへと投資領域を拡大するとともに、銀行の取引先に向けたエクイティソリューションの提供を強化している。代表取締役社長を務める田邉俊治氏にその戦略の詳細を聞いた。
銀行グループのソリューションビジネスの深化・拡大に取り組む ―― 横浜キャピタルのこれまでの歩みを教えて下さい。
「横浜キャピタルは、ベンチャービジネスを発掘・育成して横浜銀行の優良な取引先を増やすことを目的として1984年に設立されました。
当初は横浜銀行から資金を借り受けてプリンシパル投資を行っていたのですが、東日本大震災の影響で多額の減損が発生して財務が大きく悪化しました。そうした中、中小企業基盤整備機構や神奈川県内の金融機関、信用保証協会などと『かながわ中小企業再生ファンド投資事業有限責任組合』を設立し、LP投資家からの管理報酬を収益源とするファンドビジネスへの転換が始まりました。以降も複数のファンドを立ち上げていますが、安全性を重視する銀行の方針もあり、投資金額を2000万~3000万円程度に抑えた縮小均衡的な運用が続きました。
ところが2020年代に入ると、『金利のない世界』で融資に代わる収益源がますます求められるようになったことや、コンコルディアFGの中期経営計画において『ソリューションビジネスの深化・拡大』を掲げる中で、銀行の取引先からエクイティソリューションのニーズが高まってきたことなどが重なり、グループ内で『横浜キャピタルというビークルを有効活用できないか』との機運が高まりました。そこで、2021年3月にパートナーシップ関係にある千葉銀行と共同で30億円規模のファンドを立ち上げてバイアウト投資を開始し、さらに2023年3月には、当社単独でベンチャー投資や事業承継支援、他のバイアウトファンドとの共同投資など一通りのエクイティ投資が可能な『Yokohama Nextファンド』を60億円規模で組成しました。これを機に本格的に『エクイティソリューションの多様化・高度化』に向けた取り組みを推し進めてきました」
■田邉 俊治(たなべ・としはる)
1997年横浜銀行入行。経営企画部主任調査役、東京支店副支店長、人財部人事役グループ長、新横浜支店長、川崎南部エリア統括兼川崎支店長を経て2023年4月に横浜キャピタル代表取締役社長に着任。