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(2025/04/21)

ハードル高まるグロース市場、新基準は時価総額100億円

前田 昌孝(マーケットエッセンシャル主筆、元日本経済新聞編集委員)
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低迷が続く東証グロース市場の活性化策として、「上場10年後に時価総額40億円以上」としていた上場維持基準を「上場5年後に時価総額100億円以上」にする方向で議論が進んでいる。現状の上場企業に当てはめると、満たせないところが大量に出てきそうだが、それでもグロース市場のイメージを変えるためにハードルを高めるのか、賛否両論が出てきそうだ。
2月末までは5億円でも容認

 グロース市場は東京証券取引所が2022年4月4日に市場区分を変更して誕生した市場で、従来のマザーズ市場上場428社と、グロース基準でJASDAQに上場していた企業34社を引き継いでいる。

 2025年3月末現在のグロースの上場企業数は613社。旧来の市場区分から横滑りしてきた462社に新規上場の210社を加え、プライム、スタンダードなど他市場に移った26社と、上場を廃止した33社を差し引くと、この企業数になる計算だ。

 プライム市場やスタンダード市場と異なるのは、決算が赤字でも上場できることだ。プライム上場は直近2年間の利益額の総額が25億円以上、または直近1年間の売上高が100億円以上で時価総額が1000億円以上となる見込みがあることという条件を満たさなければ上場できない。スタンダード上場には直近1年間の利益額が1億円以上という要件がある。

 この点、グロース市場はマザーズ市場の基準を引き継ぎ、上場までの黒字化を求める縛りはない。その代わりに高い成長性があることが求められ、上場10年後に時価総額40億円を達成することが条件になっている。



■ 筆者履歴

前田 昌孝

前田 昌孝(まえだ・まさたか)
1957年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年に証券部に配属。97年から証券市場を担当する編集委員。この間、米国ワシントン支局記者(91~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。日経編集委員時代には日経電子版のコラム「マーケット反射鏡」を毎週執筆したほか、日経ヴェリタスにも定期コラムを掲載。22年1月退職後、合同会社マーケットエッセンシャルを設立し、週刊のニュースレター「今週のマーケットエッセンシャル」や月刊の電子書籍「月刊マーケットエッセンシャル」を発行している。ほかに、『企業会計』(中央経済社)や『月刊資本市場』(資本市場研究会)に定期寄稿。

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