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[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2020/05/27)

With‐Afterコロナの音楽市場を展望する ~「田舎で生ライブ」が主流に?

藤原 裕之((同)センスクリエイト総合研究所 代表)
エンタメ支出の減少は飲食以上

 メディアは毎日のように新型コロナ・ウイルスの影響を受けた飲食・小売店の惨状を伝えている。飲食・小売店は個人・中小経営店が多く視聴者にとっても身近な存在であるため、今のコロナ禍の厳しさが伝わってくる。一方、飲食店ほど報道される機会はないものの、かつてない大打撃を受けているのがエンタメ業界だ。今年2-3月の消費支出の伸び率を品目別にみると、映画・演劇・コンサートは▲48%と減少率がもっとも大きかった遊園地▲64%と並ぶ厳しい数値となっている。外食関係では、居酒屋▲25%、中華料理▲18%であり、エンタメ需要の蒸発度合いは飲食店以上といえる。本稿では音楽業界を取り上げ、With‐Afterコロナの音楽市場がどうなるか展望したい。

図表1 コロナ禍で支出が減少した品目



ライブビジネスは瀕死状態 ~ストリーミングは好調

 音楽業界の中でも特に厳しい状況に陥っているのが不要不急・3密業態の象徴として取り上げられるライブビジネスだ。ゴールデンウィークから夏にかけては、本来であれば全国各地で音楽フェスが始まる時期だが、今年は多くのイベントが中止・延期を発表している。音楽業界は2010年頃からライブなど体験価値を重視するスタイルへシフトし、フェスの盛り上がりはその変化を象徴するものだった。しかもフェスは飲食業、服飾業、観光・宿泊業など関連業種も多いため地域経済への打撃も大きい。

 この窮状をなんとかしようと、現在多くのアーティストやライブハウスはYouTubeでの投げ銭ライブやグッズ販売を行っている。ただ投げ銭ライブはあくまで応援消費の一形態であり、1万円以上する生ライブに変わるマネタイズの手段には程遠い状況にあるようだ。

 一方、コロナ禍で伸びているのがSpotifyやNetflixなどストリーミング・サービスである。ニールセン・ミュージックの調査によると、在宅勤務が増えたことで米国内の人口の6割が自宅で多くの娯楽に接し、うち24%は少なくとも1つのストリーミング・サービスを新規登録している。

 こうしたコロナ禍で音楽業界が受けた状況を整理したのが図表2である。ここ数年、音楽業界は音楽を「聴く」機能的価値の市場はストリーミング・サービス、音楽を「体感」する意味的価値の市場は生ライブという棲み分けで市場が拡大していた。それがコロナ禍で生ライブの市場がほぼ消滅した。YouTubeなどでオンライン・ライブ(投げ銭ライブ)を行う動きもあるが効果はわずかだ。唯一伸びているストリーミングを加えても音楽市場の縮小は免れない。

図表2 コロナ禍による音楽市場の変化



With-Afterコロナの音楽業界の姿
~ コロナ前には戻らない

 では今後、音楽業界はどうなっていくのか。多くの人が薄々感じているように、新型コロナ・ウイルスの感染拡大が収束すれば元の世界に戻るとは考えにくい。

 「環世界」という言葉をご存じだろうか。環世界とは...

■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、一般社団法人日本リサーチ総合研究所を経て、2020年4月より合同会社センスクリエイト総合研究所代表。株式会社東京商工リサーチ客員研究員を兼任。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@sense-create.co.jp

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