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[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2020/11/11)

不二家は長期低迷から脱せるか ~ 洋菓子事業をお荷物にしない

藤原 裕之((同)センスクリエイト総合研究所 代表)
長引く業績低迷 ~最大の課題は洋菓子事業

 ペコちゃんでおなじみの洋菓子メーカー「不二家」の業績悪化が止まらない。2020年1~9月期の連結決算では、売上高が前年同期比5%減の696億円、最終損益は1億900万円の赤字となった。コロナ禍に伴う店舗休業や営業時間の縮小でレストラン事業の不振が響いたようだ。

 不二家は1910年11月創業、100年以上続く歴史ある企業である。創業翌年にクリスマスケーキを販売、代名詞のペコちゃんは50年に誕生した。同社は現在、祖業の洋菓子事業、クッキー菓子「カントリーマアム」を主力商品とする菓子事業、レストラン事業、飲料事業などを展開している。菓子事業は売上の6割を占め、同社の主力事業に育っている。周知のように同社は08年に山崎製パンの連結子会社となり、菓子事業の成長は山崎製パンの持つ強い販売ルートが寄与したものだ。

 問題は祖業の洋菓子事業の不振にある。10年以上赤字が続いており、洋菓子事業の赤字を菓子事業の黒字で埋める格好になっている。洋菓子事業の店舗数は986店(15年末)から871店(20年9月末)に減少、街角からペコちゃん人形が次々と姿を消している。同社の最大の課題は祖業の洋菓子事業の立て直しにあることは明らかだ。

図表1 不二家「洋菓子事業」の売上高推移(億円)
 

洋菓子事業の不振の理由

  祖業の洋菓子事業がお荷物部門となってしまったのにはいくつか理由がある。

(要因1)スイーツ市場の主役交代

 洋菓子事業の不振として第一に挙げられるのがスイーツ市場の主役交代だ。かつてスイーツ・デザートといえば「ケーキ」だったが、現在はスイーツ市場の主役ではなくなっている。図表2は家計のスイーツ支出を示したものだが、ケーキは2009年にアイスクリームに抜かれ、2016年にはチョコレートに抜かれる。

 アイスクリームに主役の座を奪われ、さらにチョコレートにも抜かれる。ケーキ市場の頭打ちは不二家にとって影響は大きかったはずである。今までと変わらず良い商品を生み出しても、土台となるマーケットが頭打ちとなっては売上げもなかなか増加しないのは当然である。

 個人経営店と違って不二家のような洋菓子チェーン店は一定の市場規模があって成り立つビジネスモデルである。頭打ちとなった市場に対応するには、競合店を上回る魅力的な商品を投入しつづけるか、既存の店舗を減らすしかない。

図表2 家計の年間スイーツ支出額の推移(円)


(要因2)コンビニスイーツの脅威

 2つ目の要因は「コンビニスイーツ」の台頭である。コンビニスイーツはケーキ市場が頭打ちにある中でもプラスの売り上げを維持している。

~ 不二家以外の洋菓子店も影響
 
 コンビニスイーツは2009年に発売されたローソンの「プレミアムロールケーキ」が火付け役となり、セブンやファミマも参戦し「スプーンで食べるロールケーキ」が一大ブームとなった。昨年はローソンが発売したチーズケーキ「バスチー」が大ヒットするなど、コンビニスイーツは常に話題を呼ぶ。現在放送中のテレビドラマ「この恋あたためますか」はコンビニスイーツを生き甲斐にする主人公がスイーツ開発を手掛けるドラマだ。…

■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、一般社団法人日本リサーチ総合研究所を経て、2020年4月より合同会社センスクリエイト総合研究所代表。株式会社東京商工リサーチ客員研究員を兼任。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@sense-create.co.jp

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