[視点]

2024年1月号 351号

(2023/12/11)

スピンオフの現状と課題

堀内 健司(長島・大野・常松法律事務所 パートナー 弁護士)
  • A,B,EXコース
はじめに

 スピンオフが、事業ポートフォリオの見直し、最適化等の促進を目的として、2017年に我が国税法上適格組織再編の1つとして措置されて以降、実際に実行されたのは2020年のコシダカホールディングスによるカーブスホールディングスのスピンオフの1件という状況が長い間続いてきた。しかしながら、今年度(令和5年度)の税制改正によって、パーシャルスピンオフも適格組織再編と位置づけられることになったのと前後して、今年になって以降4件のスピンオフの準備・検討が公表されるに至っている(注1)。このうち1件はパーシャルスピンオフである。そこで、スピンオフの現状と今後の課題について若干の考察を試みたい。

スピンオフとは

 スピンオフとは、既存の子会社の株式又は切り出した事業を承継させた子会社の株式を、スピンオフを実施する法人(親元会社)の株主に対して、その保有株式数に応じて交付することをいう。我が国において適格組織再編として位置づけられているスピンオフは、完全子会社を対象とするものに限られ、例えば上場子会社の株式を対象とするものは含まれない。また、適格組織再編に該当するスピンオフは、保有する完全子会社の全ての株式を交付するものに限られていたが、上記のとおり、今年度の税制改正によって、保有する完全子会社の80%超の株式を交付するものについても、2024年3月31日までの時限措置であるが、適格組織再編として位置づけられることになった。

スピンオフの効果・メリット

 スピンオフの効果としては一般に、

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