[【クロスボーダーM&A】「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」を読む(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)]

(2018/08/16)

【第6回】行動5 統合に向け買収成立から直ちに行動に着手

汐谷 俊彦(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアマネジャー)
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  これまでの行動1~行動4では、主にM&Aの戦略策定からディール実行のフェーズにおいてM&A成功企業・失敗企業の違いを見てきた。これまでのところ、成功企業の特徴は以下の3つに集約されるであろう。

●始めにストーリーありき
●用意周到な準備(能動的かつ日常的にM&Aに備えているか)
●冷静な意思決定(買収からの撤退は失敗ではなく、合理的な判断の結果)

  結局のところ「高値で買ったことがそもそもの失敗」というのも、ストーリーが後付けだったり、平時からM&Aを考え続けてきていなかったり、いざディールに入ると撤退の意思決定が組織として出来ずに、結果として高値掴みとなっているに過ぎないということである。さて、今回からは、いよいよ買収後の経営にフォーカスしてM&A成功の要諦を探っていきたい。

PMIは本当に重要なのか

  M&Aが経営手法として根付くにつれて、日本企業にとってもPMIの重要性は、最近になってようやく認識されるようになってきた。とはいえ、まだまだ海外のM&A巧者といわれる企業と比べれば周回遅れの感は否めない。「PMIこそ大事」「買収後が肝心」「買収後からが本当のスタート」といった声はよく聞かれ、実際にそれなりの経営資源を投入している企業が増えている点は、近年変わってきたところでもあり、一定の評価はできるであろう。

  一方で、こういう声の影に隠れてはいるものの、「優れた戦略を構築し、買収する対象を間違えず、適正な価格で買い、契約上の担保もしっかりとれていれば、うまくいかないわけがない。うまくいかないとしたらエグゼキューションしている人間の力量不足である」といった考え方を心の底ではもっている人が、特に企画部門の優秀な人に良くみられる。企画部門の担当が考えているだけならばまだよいが…


デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

■筆者略歴
汐谷 俊彦(しおたに・としひこ)
コンサルティング会社、事業会社企画部門を経て現職。
日本企業による海外企業買収にかかわるM&A/PMI、日本企業の海外投資/進出に関する経験多数。
M&Aを基点にした企業変革、グローバル戦略、事業再編に強み。その他事業戦略立案などを主に経験。





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