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(2025/06/18)

上場相次ぐ東京プロ市場、グロース市場改革の余波?

前田 昌孝(マーケットエッセンシャル主筆、元日本経済新聞編集委員)
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英ロンドンのAIM(オルタナティブ・インベストメント・マーケット、代替投資市場)をモデルに開設された新興ベンチャー企業向け市場、東京プロマーケットに上場する企業が相次いでいる。2024年は年間で50社、2025年も7月上旬までに22社が上場する見通しだ。一般市場の東証グロース市場に上場するためのハードルが高まり、代わりに選好されている面もあるようだ。
グロース市場上回る可能性

 東京プロマーケットは、2009年6月に開設されたTOKYO・AIM取引所の機能を引き継ぎ、2012年7月に設置された市場で、東京証券取引所が運営している。母体のTOKYO・AIM取引所は東証とロンドン証券取引所が共同出資して2009年に設立されたが、隆盛だったロンドンAIMと異なり、ほとんど上場企業が集まらなかった。

 東証プライム、スタンダード、グロースの各市場はプロの投資家はもちろん、幅広く個人投資家が参加していて、一般市場と呼ばれている。投資家保護のために厳しい上場維持基準などが定められ、東証の厳しい審査を通過しなければ、上場することができない。

 この点、プロ向け市場は金融庁が定義する「特定投資家」だけが取引できる代わりに、極めて自由度が高い市場になっており、どんな企業を上場させるかも取引所ではなく、取引所が「J-Adviser」として認証した証券会社や銀行、専門業者などが責任を持って決める仕組みになっている。

 新規上場企業数の推移は図表1の通りで、2019年までは年間10社に満たなかったが、2020年に10社、2022年に21社と増え、2024年には50社を数えている。2025年は5月末までに17社が上場し、6月10日現在では6月中に4社、7月に1社の上場が決まっている。



■ 筆者履歴

前田 昌孝

前田 昌孝(まえだ・まさたか)
1957年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年に証券部に配属。97年から証券市場を担当する編集委員。この間、米国ワシントン支局記者(91~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。日経編集委員時代には日経電子版のコラム「マーケット反射鏡」を毎週執筆したほか、日経ヴェリタスにも定期コラムを掲載。22年1月退職後、合同会社マーケットエッセンシャルを設立し、週刊のニュースレター「今週のマーケットエッセンシャル」や月刊の電子書籍「月刊マーケットエッセンシャル」を発行している。ほかに、『企業会計』(中央経済社)や『月刊資本市場』(資本市場研究会)に定期寄稿。

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