消費はコロナ禍前の水準に達しそうにない 2022年の景気を占うキーワードは「リベンジ消費」と言われている。コロナ禍1年目の2020年の消費は「需要の蒸発」と呼ぶにふさわしい急減となった。コロナ禍2年目の2021年は、9月末に緊急事態宣言が全面解除され、ワクチンの接種が進む中、少しずつ消費に明るい材料が見え始めている。2021年10月の百貨店売上高はコロナ禍前の2019年対比でようやく前年比プラス(+1.3%)に浮上した。 もっとも、現状は抑制した購買意欲を一気に爆発させる「リベンジ消費」と呼ぶには程遠い。物価変動を調整した実質消費支出でみると、依然としてコロナ禍前の2019年の水準に達していない(図表1)。欧米・中国の消費はすでにコロナ禍前(2019年)の水準を上回る力強い伸びをみせており、これぞリベンジ消費と呼べる状況だ(図表2)。厳しい感染状況にもかかわらずリベンジ消費が起きている欧米・中国に対し、日本の消費はあまりに弱々しく映る。図1 実質個人消費の推移 図2 米国の小売売上高(2019年同月比)力強さ欠くサービス支出 …■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)略歴:弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、一般社団法人日本リサーチ総合研究所を経て、2020年4月より合同会社センスクリエイト総合研究所代表。株式会社東京商工リサーチ客員研究員を兼任。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。ブログサイト「藤原裕之のブログ アートとサイエンスの「あいだ」」を運営。※詳しい経歴・実績はこちら※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@sense-create.co.jp