[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2023/09/13)

活発化するチョコレート業界のM&A -カカオ豆の調達競争とストーリー価値の追求が追い風に

藤原 裕之((同)センスクリエイト総合研究所 代表)
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チョコレート業界で活発化するM&A

 スイーツ市場の中で成長し続けているのがチョコレートである。チョコレート市場は2011年頃から右肩上がりで伸びており、今や菓子市場でトップの市場規模に成長している(図表1)。

 チョコレート市場の拡大を受けてM&Aも活発化をみせている。菓子大手のロッテは2022年1月14日、チョコレート製造販売のDari K(ダリケー、京都市)を買収した。2011年創業のダリケーは売上高数億円規模とそれほど大きくないが、カカオ豆をインドネシアの現地農家から調達し、独自の発酵技術と焙煎技術で質の高いチョコレートを作る。生産者や環境に対する取り組みも推進している。ロッテはチョコレート事業でのサステナビリティの推進やカカオ豆の新たな価値創出を見込んでいる。

 業務用チョコレートを巡るグローバル競争も活発になっている。不二製油は2018年11月に北米最大の業務用チョコレートメーカーのブロマーチョコレートカンパニーを買収し、業務用チョコレートで世界3位に食い込んだ。チョコレート菓子で世界4位のフェレロ(イタリア)によるストーンズ(英国)の買収(2015年6月)、世界5位のハーシー(米国)による上海金糸猴食品(中国)の買収(2014年9月)など、海外では早くからチョコレート市場を巡るM&Aが本格化している。

図表1 チョコレート市場規模の推移
チョコレート市場規模の推移

チョコレート市場が成長し続ける背景

 当然のことながら、グローバル規模でM&Aが活発化しているのは、チョコレート市場が今後も成長し続けるとみているからである。こうした強気の見方が多いのは以下3つの要因が背景にある。

①ブームとなった「ハイカカオチョコレート」

 チョコレート市場の急拡大をもたらしたのは2010年頃にブームとなった「ハイカカオチョコレート」である。ハイカカオチョコレートはカカオ含有量70%以上のチョコレートで、カカオポリフェノールの美容・健康効果に注目が集まったことで人気に火が付いた。

 ハイカカオチョコレートがブームになるまでには長い年月を要している。ハイカカオチョコレートの先駆けとなった森永製菓「カカオ70」が発売されたのが97年、明治の「チョコレート効果」は翌年98年の発売であり、ブームとなるまでに10年以上かかっている。チョコレートはお菓子でもあるため、「おいしさ」が伴わなければブームにはならない。日本人の口に合うおいしいハイカカオチョコレートを作るため、開発に開発を重ねてきたメーカーの努力が今日のブームにつながっている。

 チョコレート消費のけん引役は中高年層である。ハイカカオチョコレートのブームが始まった2010年以降のチョコレート支出額を年齢別にみると...

■ 藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、一般社団法人日本リサーチ総合研究所を経て、2020年4月より合同会社センスクリエイト総合研究所代表。株式会社東京商工リサーチ客員研究員を兼任。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
ブログサイト「藤原裕之のブログ アートとサイエンスの「あいだ」」を運営。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@sense-create.co.jp

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