C-United設立でグループ化 ロングリーチグループ(以下ロングリーチ)は、2018年にUCCフードサービスシステムズから「珈琲館」事業を、また2020年には「カフェ・ベローチェ」を展開するシャノアールの全株式を取得。その後、両社の強みを最大限に発揮することを目的として両社を経営統合し、2021年4月に新会社C-Unitedとして新たなスタートを切った。さらに2022年にはサッポログループ食品から「カフェ・ド・クリエ」を中心にカフェチェーンを展開していたポッカクリエイトの株式を取得することで、C-Unitedはマルチブランド戦略を一層推進・深化させようとしている。
一般社団法人全日本コーヒー協会によると、2022年の日本のコーヒー消費量は前年比2.2%増加の43万2873トンとなった。2020年に新型コロナ感染症がまん延して以降は、家庭用コーヒー市場が活性化したものの、外食のカフェや喫茶店などの飲用機会が減り、消費量が減少していたが、4年ぶりに増加に転じた。
カフェは大きく2種類に分かれる。セルフ式とフルサービス式で、セルフ式はカウンターで注文をし、商品を受け取るタイプ。一方、フルサービス式はスタッフがテーブルに注文をとりにくるタイプで、セルフ式と比べて客単価も高い。「珈琲館」はフルサービス式、「カフェ・ベローチェ」、「カフェ・ド・クリエ」はセルフ式だ。
国内のカフェチェーンの店舗は、1位が「スターバックス」で1771店舗(2022年9月末)、2位が「ドトール」で1273店舗(2022年10月末)、3位が「コメダホールディングス」で950店舗(22年5月末)、4位が「タリーズコーヒージャパン」(2007年に伊藤園傘下に)で759店舗(2022年7月末)。C-Unitedは約600店舗を展開し業界5位の規模となる。
ロングリーチは、日本を中心にアジア地域におけるプライベートエクイティ投資を行う独立系投資会社。2003年10月に設立され、東京と香港の2拠点を中心に投資業務と投資先事業支援業務を行っている。これまで4つのファンドを設立し、累計2500億円以上の運用を行っている。日本企業の事業ポートフォリオ改革に伴う“非中核事業の分社・独立化”が、ロングリーチグループの得意領域の一つである。これまで、
日立ビアメカニクス(日立製作所)、
富士通コンポーネント(富士通)、三洋電機ロジスティクス(パナソニック)、ファーストキッチン(サントリー)、NOCアウトソーシング(オリンパス)、ウェルネス・コミュニケーションズ(伊藤忠商事)など多くのコーポレート
カーブアウト投資を行った実績を持っている。
C-Unitedの設立で、カフェブランドの拡大を図るロングリーチの杉本友哉パートナーと陳毅哲エグゼクティブディレクターにカフェブランドの拡大を図るロールアップ投資戦略を聞いた。
<インタビュー>
マルチブランドを強みにグループ拡大を図る
杉本 友哉(ロングリーチグループ パートナー)
陳 毅哲(同 エグゼクティブディレクター)
- <目次>
- アドオン投資によるブランド拡大
- C-United設立の狙い
- マルチブランド戦略の強み
- C-United傘下のPMIプロセス
- ビジネス立地の店舗も急速にキャッチアップ
- 海外展開も視野に
アドオン投資によるブランド拡大