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[ニューノーマル時代の日本企業M&Aの指針]

2021年8月号 322号

(2021/07/15)

第8回 買収子会社の管理

後藤 孝江(マーサー ジャパン M&Aアドバイザリーサービス プリンシパル)
海外を含むグループ会社の管理

 筆者は長年クロスボーダーM&Aを手掛ける日本企業への組織・人事面での支援に従事している。M&AにおけるPMIの重要性が説かれて久しく、自社戦略に照らしたM&A対象企業のロングリストを定期的にブラッシュアップしつつ、デューディリジェンスに入る前からPMIの青写真をクリアに描いている企業も多く見られるようになった。仮にこの10年を振り返っても、日本企業におけるクロスボーダーM&Aの経験値は格段に高まり、PMIの取り組みの質も確実に向上していると感じている。

 一方、日本経済新聞社が2020年10月に実施した第16回「企業法務・弁護士調査」において、企業の法務担当者に法務上の優先課題、弁護士には今後企業からの需要が増えそうな分野を尋ねたところ、回答した企業213社が最優先課題と回答したのは「海外を含むグループ会社の管理」が28%でトップ、次いで「M&A(合併・買収)」12%、「危機管理」8%となったとのことである。弁護士121人から得られた回答もおおむね一致しており、最も多かった回答は「海外を含むグループ会社の管理」(33%)となった。日本企業のグローバル化が加速する中、日本企業にとって海外を含むグループ会社の管理は引き続き難易度の高い取り組みの1つであることが伺われる。

 本稿では、グループ会社のうち主に海外買収子会社を想定し、PMI初期及び中期的なグループ会社の管理における考え方を改めて整理し、 “ニューノーマル”における実務的な視点も加味しつつ議論したい。


PMI初期の買収子会社管理

 買収発表時のプレスリリースには本件買収対象会社・事業の概要とともに、自社戦略の振り返り、自社戦略における本買収の位置づけ、本件に伴い想定される財務的な影響等が含まれる。その後行われる記者会見では、本件買収の狙いについてCEOが自らの言葉で語ることも多い。そして、全体及び領域別のPMIプランニングと可能な範囲での事前準備が進められ、Day1以降、本件買収戦略の実現に向けた取り組みが各領域において行われることとなる。

 領域によらず、PMIのプランニングは以下の3つの視点で整理し、取り組むべき施策を検討するのが望ましい(図表1)。

 PMI初期においては、プレディールにおいて想定したシナジー項目の実現、検出されたリスク項目への対応に加え、Day1以降の経営・事業環境変化に伴うアップデートが求められる。IMO (Integration Management Office)等によるプロジェクトマネジメントを通じ、各領域で推進される取り組みの進捗管理、領域横断的な課題の特定及び解決、場合によっては軌道修正を行うことは、PMI初期における買収子会社管理の立ち上げの観点から有効なアプローチの1つと言える。


買収子会社管理において中期的に目指すべき状態

 PMI初期を経て、買収子会社管理において中期的に目指すべき状態とは、

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