左から、竹内大・経営戦略室長、小澤信哉・経営戦略室M&A推進部長
横河電機は2024年、M&A部門を社長直轄組織に見直した。既存事業の深化や新規開発によるオーガニック成長と、M&A・アライアンスを通じたインオーガニック成長の両輪を加速させ、案件創出から
エグゼキューション、
PMIまでのプロセスを一気通貫で行う。体制変更の背景、直轄化がもたらした戦略面の変化、
ソーシングについての考え方、投資判断とバリュエーション、PMIの形式化・内製化といった実務上のポイントについて、同社のM&A部門を統括する竹内氏と小澤氏に聞いた。
社長直轄化の背景は「トップの意思を、現場に直接・素早く」
―― M&A推進組織を社長直轄型に見直しました。その背景や狙いを教えてください。
竹内 「当社は2030年に売上高1兆円規模のグループを目指す中長期構想のもとで経営を進めています。成長はオーガニックだけではなく、インオーガニックをもう1つの柱として進めていきます。インオーガニックを柱に据えるなら、経営トップの意思決定を階層を介さず現場に反映させ、戦略実行のスピードを上げるべきだと判断しました。そこでM&A専担部門を社長直轄の組織に改めました。結果として、意思の伝達と意思決定が速く、ぶれずに進むようになったと実感しています。
変更前の体制は社長の下にマーケティング本部があり、その中にM&A担当部隊を置いていました。今回、その組織を核にしながら、直轄化に合わせて機能も拡充しました」
―― 会社全体を俯瞰すると、M&A専門組織は一元化されているのでしょうか。それとも事業部にもM&Aの機能を持つなど分散しているのでしょうか。
■竹内 大(たけうち・まさる)
大学卒業後、横河電機入社。財務会計及び中期を含む経営計画策定の業務等に従事。予算管理部長、経理財務戦略センター長等を経て、中東アフリカ地域を統括する横河電機 Middle East & Africa(在バーレーン)にコーポレート長として赴任。帰任後、2024年4月より、中期経営戦略、M&A推進、組織構造変革等を担当する経営戦略室長に就任。
■小澤 信哉(おざわ・しんや)
大学卒業後、富士フイルム入社。メディカルシステム事業部にて海外事業に長く従事。その後、デロイトトーマツコンサルティングのM&A部門に所属し、日系企業のクロスボーダーM&A案件に多数従事。2022年5月に横河電機入社。「全社収益性向上」「グローバル組織変革」といった社長直下の全社プロジェクトに従事した後、2024年4月より経営戦略室M&A推進部長就任。