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2020年2月号 304号

(2020/01/20)

支配権争奪戦とM&A指針

石綿 学(森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士)
一 はじめに

 2019年は、上場企業による本格的な敵対的買収が相次いだ。伊藤忠商事によるデサントに対する敵対的買収、エイチ・アイ・エスによるユニゾホールディングスに対する敵対的買収、HOYAによるニューフレアテクノロジーに対する敵対的買収など、いずれも著名な東証一部上場企業が買収者となっている点が特徴的である。
 わが国では、王子製紙が北越製紙(当時)に対する敵対的買収を試みて以来、長らく敵対的買収の冬の時代が続いた。そもそも敵対的買収は、十分なデュー・ディリジェンスができないため不確実リスクがあり、取引コストも高くつくことが多い割に、成功確率が低い。そして何よりレピュテーションリスクを伴う。敵対的なレピュテーションを意に介さない買収者を除き、レピュテーションを重んじる上場企業においては、現実的な選択肢にはなりにくかった。
 これに対し、昨今のコーポレートガバナンス改革は、敵対的買収を巡る環境を大きく変化させた。上場企業における安定株主の減少、資本効率の重視、スチュワードシップコードによる機関投資家の投資行動の変化、アクティビスト株主の活発化などが相まって、経済合理的な投資行動をする投資家が増し、敵対的買収をタブー視する情緒的な投資環境が変わりつつある。そこに来て、わが国を代表する商社の一つである伊藤忠商事がデサントに対する敵対的買収を成功させたことは、多くの経営者にとっての敵対的買収を行うことへのハードルを一気に引き下げた感がある。その後、エイチ・アイ・エスがユニゾホールディングスへ敵対的買収を行い、成立はしなかったものの、多額の特別利益を計上した。また、このユニゾホールディングスのケースは、エイチ・アイ・エスの敵対的買収を契機として複数の対抗提案がなされる事態に発展し、複数の買収提案者による支配権争奪戦が行われる中、対象会社の取締役がどのように行動するべきかという問題を提起することとなった。


二 支配権争奪戦の対象会社の取締役に対する規律とM&A指針の参照可能性

 それでは、支配権争奪戦の対象となった会社の取締役に対しては、どのような規律が及ぶべきなのだろうか。

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