設立母体の倒産で危機に直面したREITをどう立て直したか
破産
「これから裁判所に行って、破産手続きの申請をします」
二〇〇八年九月二四日午後、オークツリー・ジャパン(以下オークツリー)の中村博・代表取締役はかかってきた電話に絶句した。
電話の主は、リプラスの姜裕文社長だった。リプラスの本業は家賃保証事業。入居者が賃貸マンションを借りる際に連帯保証人を立てるかわりに保証委託契約を結び、オーナーに対して入居者に賃料滞納があった場合にそれを補填するというビジネス・モデルが賃料滞納リスクをヘッジできると評価されて急成長、〇二年のリプラス設立からわずか二年後、〇四年一二月には東京証券取引所マザーズ市場上場を果たして話題となった。さらに、同社は〇六年に上場された不動産投資信託(REIT)「リプラス・レジデンシャル投資法人」の資産運用会社である「リプラス・リート・マネジメント」の株式九〇%を握っていた。