[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2023/12/13)

物価高をチャンスに変える、地域スーパーが取組む「ご当地PB」開発と店舗の「小型化」 ~地元メーカーとの共同開発強化にM&Aの機会も

藤原 裕之((同)センスクリエイト総合研究所 代表)
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物価高で地域スーパーの「ご当地PB」が人気

 食品価格の上昇により、商品を製造するメーカーによるNB(ナショナルブランド)に比べ、小売業や卸業が開発した割安感のあるPB(プライベートブランド)の人気が一層高まっている。かぼちゃやチーズなど値上がりが顕著な食品の購入価格は市場価格を下回っている。消費者は同じ品目でもより割安なPB商品を購入することで購入価格を抑えようとしているのである。一方、家具や衣服などは購入価格が上昇しており、高級志向がみられる(図表1)。

 ではどのようなPB商品が人気を集めているのか。安さだけであれば大手チェーンが全国展開しているPB商品、すなわちNBと同等の品質と割安の価格を目指すPB商品が優位となる。しかし実際には地域に密着した地元スーパーが手掛ける「ご当地PB」が人気を集めているのである。

 高齢化と人口減で国内市場の縮小が進む中、小売業界では大手チェーンを中心に欧米のような寡占化が進むとみる向きが多かった。地域スーパーが手掛けるご当地PB人気はこうした小売業界の常識を覆す動きでもあり、長期低迷する地域経済の活性化につながる可能性も秘めている。ご当地PB人気からみえる地域スーパーの将来像と業界再編について考えたい。

図表1 市場価格と家計の購入価格
図表1 市場価格と家計の購入価格

「エコノミー型PB」「スタンダード型PB」「プレミアム型PB」+地域性

 かつてはNBの廉価版と言われたPBだが、徹底的な低価格を訴求する「エコノミー型PB」、NBと同等の品質と割安の価格を目指す「スタンダード型PB」、高付加価値を追求する「プレミアム型PB」という具合に、ここ数年はより多層性を持たせる動きが広がっている。そこに「地域性」という横串を通すことで地元食材や地域の食文化を反映させたのがご当地PBである。地域色の強いご当地PB人気は昨今のクラフトブームの流れとも整合する。

 地域密着スーパーの代名詞とも言える北海道のセイコーマート(通称セコマ)は北海道の北見市産と滝上町産の和ミントを使用したPBで有名だ。セコマはチョコミントソフトからミントクラフトジンまで多彩なPB商品を投入している。滝上町産ハッカを使用したミントハイボールは350mlで128円(税抜き)。NBと同価格帯で「スタンダード型PB」に分類できるが、滝上町産ハッカという付加価値が高い分、割安感がある。

 千葉県柏市を中心に9店舗を展開する地域スーパー「京北スーパー」。当店のPBブランドKEIHOKUの人気商品“三ヶ月熟成 本みりん 古式造り”は「窪田酒造」(千葉市野田市)とのコラボ商品である。600mlで800円(税抜き)と一般的なみりんより高価で「プレミアム型PB」に分類できる。もろみの熟成期間を通常2カ月のところ3カ月以上にすることで品のいい甘みや風味で素材の旨みが引き出される。

地域スーパーの店舗は小型化の波 ~顧客との距離感を縮める

 ご当地PBに象徴される地域性の波は店舗のあり方も変えている。スーパーの店舗は年々小型化が進んでいる(図表2)。...

■ 藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJアセットマネジメント株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、一般社団法人日本リサーチ総合研究所を経て、2020年4月より合同会社センスクリエイト総合研究所代表。株式会社東京商工リサーチ客員研究員を兼任。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
ブログサイト「藤原裕之のブログ アートとサイエンスの「あいだ」」を運営。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@sense-create.co.jp

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