独立系の経営戦略コンサルティングファームであるコーポレイト ディレクションは、大企業ならびに中堅上場企業(株式時価総額で数百億円後半から5000億円程度の企業)に対してM&A支援やコンサルティング支援を手掛けている。日本の中堅企業の経営者・M&A担当者の意識や行動は変わってきているのだろうか。2025年のM&A市場の見通しと合わせ、同社代表取締役の小川達大氏に展望を聞いた。
中堅企業経営者の意識も変化 ―― 2025年に向けたM&A市場の動向をどのように見通していますか。
「感触としては、2025年に向けて、M&A市場はさらに活発化すると予想しています。買う方もですが、売る方も
カーブアウト案件が増加傾向にあると考えています。
当社が普段お付き合いをさせていただいている会社は、株式時価総額でいうと、数百億円後半から5000億円くらいの規模の会社が多いです。M&Aを活発に、頻繁にするのは大企業が中心ですが、昨今は、大企業の経営判断がよりさまざまな会社に一般化しているのだろうと思っています。
背景としては、よく言われることではありますが、時価総額や株価への経営者の意識が高まっていることです。投資家や市場からのプレッシャーが、事業売却や買収の実行を後押ししており、
企業価値向上を目的としたM&Aがより一般化してきています。これまではオーガニックな成長が中心でしたが、M&Aを活用しながら成長を目指す動きが中堅企業の間でもより一層増えていくと思っています」
―― 中堅企業経営者のM&Aに対する意識にも、大きな変化が生じているということでしょうか。
「中堅企業でも上場している企業であれば、株価や時価総額への意識がより強まっています。この変化が、経営者の意識変革にもつながっています。経営者の意識が企業価値を上げていくところにどんどんシフトしていっているということだと思います」
■小川 達大(おがわ たつひろ)
東京大学法学部卒。CDI入社後、ベトナム事務所の立ち上げ、シンガポール駐在を経験。全社戦略、アジア展開、新規事業開発、M&Aなどさまざまな経営テーマに関するコンサルティングを経験。政府の「中堅企業成長ビジョン策定に向けた作業部会」の委員も務める。