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[M&A戦略と法務]

2021年2月号 316号

(2021/01/18)

外国法人発行の証券取得取引と対外直接投資規制

戸田 暁(TMI総合法律事務所 パートナー 弁護士)
1 はじめに

 2019年11月22日に成立した外国為替及び外国貿易法の一部改正は、2020年5月8日に施行された。この2019年改正外為法に基づき整備された対内直接投資規制の概要やその影響等については、既に各所で紹介・議論されている。

 小稿では、改正外為法では直接焦点となっていない対外直接投資規制を取り上げて、若干の留意点や今後の課題等に関して述べることにしたい。


2 対外直接投資規制に基づく証券取得行為の規制の概要

 まず、外為法上、「対外直接投資」とは、居住者の行為であって、外国での事業活動への参加を目的とする外国法人(一定の要件を満たすもの)の発行する証券取得行為等をいう(外為法23条2項、外国為替令12条4項、外国為替に関する省令23条)。ここで一定の要件を満たす外国法人として、たとえば、当該居住者(又は、当該居住者とその100パーセント出資子会社の合計、もしくは、当該居住者とその共同出資者の合計)の出資比率が10パーセント以上である外国法人や、当該居住者と一定の永続的関係(具体的には、当該居住者からの役員の派遣、長期にわたる原材料の供給、及び重要な製造技術の提供)にある外国法人が挙げられている。

 このような対外直接投資について、外為法は、原則として事後報告を求めており、ごく例外的な場合にのみ事前許可制、および、投資先の業種により一定の場合に限って事前届出制を設けている。

 そこで、内国法人が外国法人の発行する証券を取得して、その出資比率が10パーセント以上(従前から保有する分との合計でもよい)となる場合には、「対外直接投資」に該当するので、原則として(すなわち、以下に述べる事前許可制または事前届出制の対象となる場合でない限り)、外国為替の取引等の報告に関する省令の定めに従って、証券取得日または証券取得に係る支払等をした日(いずれか遅いほうの日)から20日以内に、事後報告書を日本銀行経由で財務大臣に提出する必要があることになる(外為法55条の3)。なお、証券取得のなかでも一定の小規模取引(たとえば、居住者単独で10パーセント以上の出資比率を有する外国法人の発行する証券の取得については、取引価額が10億円未満である場合)については、事後報告も免除されている(外為法55条の3)。

 他方、対外直接投資に該当する証券取得行為のうち、事前許可制に服するのは、居住者が非居住者から、北朝鮮の核関連計画等に貢献する活動に寄与する目的で行う場合に限られる(外為法21条1項・2項、外国為替令11条1項)。

 次に、居住者による投資先となる外国法人が一定の指定業種に該当する事業を行っている場合には、証券取得日の前2カ月以内に、日本銀行経由で財務大臣への事前届出を行う必要がある(外為法23条1項、外国為替令12条1項・2項、外国為替に関する省令21条)。ここでいう指定業種は、①漁業(水産動植物の採捕事業)、②皮革または皮革製品の製造業、③武器の製造業、④武器製造関連設備の製造業、および⑤麻薬等の製造業である。

 この事前届出制の対象となる証券取得については、財務大臣による届出受理日から起算して20日を経過する日までの間は実行することが禁止される(外為法23条3項)。この取引禁止期間は、通常、短縮する運用がなされている。具体的には、

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