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[【小説】経営統合の葛藤と成功戦略]

2014年8月号 238号

(2014/07/15)

第62回 『対等の精神』

 神山 友佑(デロイト トーマツ コンサルティング パートナー)

【登場人物】  山岡ファイナンスサービス社と渋沢ファイナンスコーポレーション社は、1年半にわたる統合準備期間を経て、明日共同持株会社の設立を迎えようとしていた。誰もの予想を超えた新会社の役員体制も発表され、社員だけではなく競合他社や市場からも統合新会社の動向は注目されていた。
  それぞれの統合推進事務局長である松尾明夫と横尾友樹は、明日に控えた経営統合に向け、最後の仕事にとりかかっていた。

統合前夜

  山岡FS社の統合推進事務局長である松尾明夫は、19時を少し過ぎて経営企画室の執務室を出た。統合推進事務局がつめるフロアーに降り、あたりを見渡すと、殆ど全てのメンバーが残っていた。全国の支社・支店や営業所などから、明日の統合に向けた準備完了報告を待っているのだ。時折、予期せぬ問い合わせなども発生しているようだが、全体としては冷静を保っており落ち着いている。18時半に支店や営業所が閉まってから、明日の統合日に向けた最後の準備作業が本格的に開始されていた。
  このフロアーではこれまで1年半にわたり、毎晩遅くまで多くのメンバーが実務的作業に携わってきた。明日いよいよ経営統合を迎えるが、多くのメンバーにとって劇的な「経営統合」の現実感というものはなく、むしろ淡々としていた。統合前日までに完了すべきものは、すべてがチェックリストで全拠点に示されており、過去1カ月にわたって潰しこみが行われてきた。幸いなことに明日の統合日時点では大規模なシステム統合は実施されないため、リスクの大きさも限定的である。統合前夜のメインタスクは、明日から一つのグループとなる2社の拠点を一つに物理的に集約することである。そしてそれらの全拠点に、新グループの社名やロゴ等の看板を設置することだ。事前に詳細なマニュアルが配布され、引っ越し業者やビル管理会社を巻き込んだリハーサルも実施されていたため、大きな混乱は発生せずに統合移行作業は滞りなく進んでいた。これまで積み上げてきたものを、今夜きちんと終わらせるという使命感と義務感が事務局メンバーの心の大半を占めており、明日から新グループが出来上がるのだという感慨はほとんどなかった。

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