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[ポストM&A戦略]

2017年6月号 272号

(2017/05/18)

第102回 買収先経営者へのオファー

 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング パートナー)

  サイニング前の大仕事のひとつは、買収先の現経営者と買収後についての摺合せを行い、買収後も辞めずに残ってほしい場合には、具体的な条件とともに買い手のそのような意向を正式に表明し(オファー、Offer)、相手に応諾してもらうことである。実際のオファーには、「タームシート(Term Sheet)」と呼ばれる重要条件を記載した書面を用意し、買収後に上司となる買い手幹部から直接コミュニケーションを行うのが普通である。この中で、報酬に込める買い手のメッセージの決定と、具体的な提示条件の作りこみが重要である。

オファーミーティングとは何か

  買収先の経営者を買収後も継続勤務させるかどうか決めるのは、ほかの誰でもない、買い手である。もとより経営者は、所定の手続きを踏んで解雇することができ、普通は、あとで揉め事にならないように、あらかじめその方法を定めている。一方で、継続勤務の要請を受けた場合に、それに従うかどうかを決めるのは経営者本人である。経営者は、退職したいと思う時には、所定の手続きを踏んで退職することができる。辞めたいといっている者を縛り付けることは、今の社会ではできない。
  経営者の場合、買い手(新しい株主)の意向に沿って経営しないと、その責務を果たしたことにならない。従って、買い手から見ればこの経営者でよいのかどうか、また経営者から見ればこの株主でよいのかどうか、お互いよく考えなければならない。そして、あまり先のことまでは見通せないとしても、少なくとも当面どうするのか、覚悟を決める必要がある。この当面の覚悟を決めるタイミングは、PMIの準備に入る前である。
  そこで、買い手が買収先の現経営者を継続雇用したいと考えるなら、その条件を決めて本人に提示し(オファー)、本人が提示条件を確認して受諾するステップが必要になる。M&Aの場合は、買い手が残ってほしいと考える以上、必ずオファーを受諾してほしい。条件を良くすればそれは簡単なことだが、条件が良すぎると、今後は買い手社内で説明がつかない。そこで、市場水準を調べたり、インタビューで本人の意向をうまく引き出したりして、ディールの時間的制約が大きい中、適切なオファー内容を検討し、合意に至るプロセスを大急ぎで回すのが通例である(本連載第2829回「クロスボーダーM&Aにおける経営者リテンション(上)(下)」参照)。

オファーミーティングの前後にはどのようなステップがあるのか

  もっとも、オファーの前後にも重要なステップがあることにも注意が必要である(図1)。

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