売り手の経営者保証を引受けることなく、譲渡対象となった企業の現預金等を買い手側に移し、譲渡対象企業の支払いに問題を生じさせて、倒産に至らせるといった行為を複数回にわたって行った不適切な買い手の存在が新聞報道等で指摘されている。
これを受け、中小企業庁は登録M&A支援機関等に対し新たな対応を実施し、その内容について10月30日にM&A支援機関登録制度のwebサイトで公表した。
具体的には、「個別の登録M&A支援機関への対応」として、10月29日付で上記のような不適切な買い手側とのM&Aを支援した15の登録M&A支援機関に対し、注意を発出するとともに、適切な対策の検討・実施を指示した。
なお、適切な対策が図られていない場合には、来年度以降のM&A支援機関登録制度への登録継続を認めないことや適切な対策が図られるまでの間、「事業承継・引継ぎ支援センター」との連携を停止する旨も併せて通知している。
また、「全ての登録M&A支援機関への要請」として、全登録支援機関に対し8月30日に公表された「中小M&Aガイドライン(第3版)」の遵守徹底を要請すると共に、ガイドライン違反があった場合には登録取消し等の対応がありうる旨を通知した。
さらに「M&Aを検討する中小企業向けへの注意喚起」として、M&A仲介事業者の選定に際しては、M&A支援機関登録制度の登録を受けている事業者の中から選定することや支援機関の手数料体系や支援の内容・質について確認するポイントをまとめたチラシを作成し、注意喚起を行っている。
■中小企業庁 M&Aに係るトラブルの発生を踏まえた対応について