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[M&A戦略と法務]

2017年1月号 267号

(2016/12/15)

債務免除を伴う私的整理を利用したM&A

 谷津 朋美(TMI総合法律事務所 弁護士 公認会計士)

第1 はじめに

  中小企業金融円滑化法施行(平成21年12月4日)以降の企業にやさしい金融諸施策やマイナス金利政策のもと、近年、企業の法的倒産件数は大幅に減少している。しかしながら、このような政策下で業績の芳しくない企業が何とか事業を継続できたとしても、成長資金を新たに借り入れることまでは困難である。このような場合、成長投資ができなければ結局はじり貧になってしまうため、従業員の将来等を考え、資金力のあるスポンサー(買収者)の傘下に入って事業の再建を目指すという選択が当然に考えられる。このような企業は取引先等にスポンサー支援を打診したり、フィナンシャル・アドバイザーを利用してスポンサーを探索したりする。

  一方、買収側からすると、実質債務超過会社の有する過大債務を全額引き受けて買収することは躊躇される。かといって債権者の同意を得ないまま過大債務を企業に残し、健全な事業資産・負債のみを承継すると、残置債権者を害する詐害事業譲渡(会社法23条の2)や濫用的(詐害的)会社分割(会社法759条4項、764条4項)であると主張される可能性が高い。そこで検討されるのが、私的整理により実質債務超過会社の債務の一部につき免除を受け、合理的な価値で企業を買収する「私的整理を利用したM&A」である。

  この種のM&Aは、一部を除き、水面下で秘密裡に行われ、信用維持の観点から具体的事例はほとんど公表されない。そのため、このような買収方法があることを知らないで貴重な買収の機会を逃してしまったり、過大債務を引き受けて非効率な投資をしてしまったりすることがある。そこで本稿では、筆者が私的整理を利用したM&Aに携わった経験を踏まえ、その概要や通常のM&Aとの相違点等を紹介することにしたい。

第2 私的整理の概要

1 私的整理を利用したM&Aのメリット


  私的整理とは、破産・民事再生・会社更生手続等の法的倒産手続によることなく債務を整理する手続であり、その方法に法的制約はない。

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