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[ポストM&A戦略]

2013年7月号 225号

(2013/06/15)

第55回 クロージングに向けた経営チームのデザイン(上)

 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング プリンシパル)

  ディールプロセスにおいては何事も交渉であり、買い手が合理的と考える要求であっても売り手がすべて容認する保証はない。対象会社の現経営者に関する情報提供やインタビューのリクエストも、何らその例外ではない。ただ、請求が認めらないからといって簡単に諦めたりせずに次善策を工夫することが大切で、完璧な情報でなくても意味のあるレベルの情報が取れれば、買い手はより適切な判断ができるものである。また、予め働きかけていれば、状況が好転したときに一気に情報開示が進むこともある。
   今回から、クロスボーダーM&Aの組織人事課題の中でも特に重要度の高い、買収後のマネジメント体制およびこれと対を成すガバナンス体制について、クロージングを目指してどのような検討を行い、クロージングの時点でどのような姿を目指す必要があるのか、解説する。

買収後の経営体制の設計に必要な情報とは何か

  本連載では、特にクロスボーダーM&Aを念頭において、現経営者をできるだけ見極めた上で、一定期間リテンションを計りつつ、リテインした経営者に対するガバナンス(コントロール)をしっかりかけるという考え方を説明してきている。その際、買収側と対象会社経営者双方のフィットを確かめながら、報酬などの条件面についても探りを入れ、一方で現経営者の持つ実力とポテンシャルをできるだけ見極めることが求められる。
   これらは個別のトピックとして数次の連載にわたって取り上げてそれぞれ掘り下げてきたが、相互の関連については必ずしも立体的に説明してこなかった経緯があるので、今回から、実際のM&A検討の現場で起こる同時多発的な動きについて解説する。
  すでに存在し、経営が行われている企業を買収するのであるから、買収後の経営体制は、現在との継続性を相当程度考えて設計される。これは、例えばアメリカ企業がアメリカ企業を買収する際も同じで、少なくとも一定期間の移行期間(トランジション)を想定し、少なくともその間は現経営者をリテインして、望ましい体制の立ち上げとその間の経営の安定を図ろうとすることは珍しくない。その移行期間は数週間から3カ月程度と短めに設定される場合もあるし、特定の経営者については複数年にわたる長期のリテンションを働きかけることもある。このように、具体的な応用の仕方はケース・バイ・ケースなのであるが、現経営者をうまくリテインして買収後一定期間のリスクをコントロールする考え方は、誰しもが一度は考えてみる一般的なアプローチといえる。
  それでも、移行期間の先には本来あるべき経営体制を確立しようというのであるから、買収後の経営体制を一旦まったくのゼロベースでデザインし、その立ち上げに関するリスクをコントロールするために、そこに至るまでの移行期間を丁寧に設計するのが本来の思考方法というものである。
   買収後の経営体制を設計するためには、下記の点について買収側が見方を定める必要がある。見定めるタイミングは、買収について大きなコミットメントを行うサイニングの時点までに行うのが原則で、困難な場合には次善策を講じることとなる。

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