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(2023/03/27)

ゼンショーHDがロッテリア買収へ~問われる外食事業の成長性の判断

マール企業価値研究グループ
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ロッテHDがロッテリアをゼンショーHDに売却

 2023年2月16日、外食最大手のゼンショーホールディングス(以下、ゼンショーHD)は、4月1日付で大手ハンバーガーチェーンのロッテリアを買収することを発表した。ゼンショーHDは牛丼の「すき家」、ファミリーレストランの「ココス」、回転寿司の「はま寿司」などを運営する外食大手であり、2022年度の売上高は6585億円と、日本の外食企業で最大手と言える。

 また、ゼンショーが買収するロッテリアはロッテホールディングスの運営するハンバーガーチェーンであり、国内店舗数はマクドナルド、モスバーガーに次ぐ第3位の358店舗(2023年1月時点、ケンタッキーを入れれば第4位)だ。双方とも業界の雄であり、外食業界の大型M&A案件である。買収理由については、「当社グループの食材調達、物流、店舗運営機能などとのシナジー効果が、今後のロッテリアの事業拡大や発展に寄与するものと判断」(ゼンショーHDのIRニュース)と発表している。本稿では「コロナ後」を念頭に、外食業界のM&A事情を分析すると共に、ゼンショーの買収の狙いや今後の外食産業の方向性を考える。

ゼンショーHDの拡大戦略と外食産業の盛衰

 最初にゼンショーHDの成長の軌跡を振り返りながら、外食産業の動向を振り返る。ゼンショーHDの創業は、1982年に横浜市に開店した弁当店「ランチボックス」にさかのぼる。同年にはすき家の第1号店も開店している。以降、1999年の東証二部上場まで、すき家の牛丼事業を中心に成長していくことになる。

 その後、今世紀に入ると多様な事業への取り組みを加速させた。2000代前半に事業多角化を行い「はま寿司」を設立し回転寿司に参入すると共に、ココスジャパン、ジョリー・パスタ、華屋与兵衛、なか卯などを次々に買収して業容を拡大した。また、海外(米国)やスーパー、介護事業などにも積極的に事業展開している。

 日本フードサービス協会によると、...


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