[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2025年10月号 372号

(2025/09/09)

【CVCの担当者が語る】オンラインリサーチで国内No.1のシェアを持つ「マクロミル」の再成長戦略

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高槻大輔 シーヴィーシー・アジア・パシフィック・ジャパン アジアオペレーションチーム プリンシパル(左)と舩江輝 同 マネージング ディレクター(右)

高槻大輔 シーヴィーシー・アジア・パシフィック・ジャパン アジアオペレーションチーム プリンシパル(左)と舩江輝 同社 マネージング ディレクター(右)

AI・DXの強化のために戦略的パートナーと組む

 2025年3月、CVCキャピタル・パートナーズ(以下CVC)が傘下のTJ1を通じて実施したTOBが完了し、マクロミルは、2025年6月17日に上場廃止となった。

 マクロミルは2000年1月、インターネットを利用した調査事業を目的に「マクロミル・ドット・コム」として設立された。WEB調査票の作成、調査対象者抽出、依頼メール配信、実査(回答データ収集)、リアルタイム集計、納品データ生成に至るまでの一連の工程をWEB上で簡易に行うことを可能とした自動インターネットリサーチシステム(Automatic Internet Research system:AIRs)を独自開発し、郵送調査や訪問調査に代表される従来型の調査手法と比較してより安価でスピーディなオンライン・マーケティングリサーチ・サービスの提供を行うことで幅広い顧客のニーズに応えるとともに、マーケティングリサーチに対する潜在的な需要を喚起。創業わずか4年弱の2004年1月に東証マザーズ市場に株式を上場、さらに翌2005年4月には東証第一部(2022年4月東証プライム市場に移行)に指定替えした。

 M&Aにも積極的で、2010年にはヤフーバリューインサイトのマーケティングリサーチ部門を経営統合、2013年には電通グループ会社の電通マーケティングインサイトを買収するなどして事業を順調に拡大した。

 その後、2014年にベインキャピタルが系列のファンドを通じて、約500億円でマクロミルの全株式を取得し、株式を非公開化した。ベインキャピタル傘下でオランダ法人MetrixLab B.V.(メトリクスラボ)の株式を取得し完全子会社化して海外展開に力を入れるとともに、経営改革を進め、2017年3月には再上場を果たした。その後、海外戦略の見直しや働き方改革等を経て業績は上昇基調で、2024年6月期の売上高は前期比8.0%増の438.6億円、EBITDAは前期比11.4%増の76.8億円となっていた。

 一方、コンサルティングファームの台頭などマーケティングリサーチ産業の競争激化が予想される中、今後さらなる成長を実現するためには、AI(人工知能)対応やDX(デジタルトランスフォーメーション)の強化が不可欠と考え、CVCを戦略的パートナーとし、投資・経営改革を進める決断を行ったと見られる。

 本件を担当した高槻大輔 シーヴィーシー・アジア・パシフィック・ジャパン アジアオペレーションチーム プリンシパルと舩江輝 同社マネージング ディレクターに、マクロミル買収の経緯と再成長に向けた支援策を聞いた。

<インタビュー>
 AI投資を加速して再成長を支援する

 高槻 大輔 (シーヴィーシー・アジア・パシフィック・ジャパン アジアオペレーションチーム プリンシパル)
 舩江 輝 (同社 マネージング ディレクター)

<目次>
  • 2度目の非公開化
  • TOB価格
  • マクロミルの強みと市場動向
  • 新たな役員構成
  • 再成長実現に向けた課題
  • 支援チームの編成
  • 今後のM&A戦略

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