2024年2月、CVCキャピタル・パートナーズ(以下、CVC)がポラリス・キャピタル・グループから調剤薬局大手の総合メディカルグループ(以下、総合メディカル)の発行済株式の100%を譲受した。
総合メディカルは2020年3月、投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループと組んで
MBOを実施、同年4月に上場廃止となった。
総合メディカルは、約740店舗の調剤薬局のほか、医療機関へのコンサルティング、医業継承・医療連携・医師転職支援システムを活用した転職・開業支援、医療機器・設備のリース・レンタル、院内売店運営等、医業経営にかかるサービスを包括的に提供。
厚労省による2022年度の調剤医療費(電算処理分)は7兆8332億円で伸び率は1.7%の増加となっている。調剤薬局の経営を左右する薬価は従来、2年に1度改定されてきたが、2021年度から薬価を毎年改定することになった。2023年4月の改定では全品目のうち約48%を引き下げられた。このほか、IT化や、医療・介護などの地域サービスとの連携強化などが求められる中で、調剤薬局業界には大きな再編の波が訪れている。
CVCは、1981年に設立された欧州の
プライベートエクイティ(PE)ファンド。シティグループのベンチャーキャピタル部門が出発点で、全世界29拠点で約31兆円の資産を運用している。2003年に日本拠点が開設された後、2005年12月に日本支社である「CVCアジア・パシフィック・コンサルタンツ・ジャパン」が設立され、2006年4月に現在の「CVCアジア・パシフィック・ジャパン」に名称変更された。長期投資を基本戦略としており、2024年2月にはアジア・太平洋地域を投資対象とする6号ファンド(68億米ドル)を組成。日本ではアルテリア・ネットワークス、テクノプロ・ホールディングス、HITOWAホールディングス(旧
長谷川ホールディングス)、りらく、
ファイントゥデイ、
トライグループ等への投資実績を持っている。
CVCは総合メディカルの成長戦略をどう描いているのか。赤池敦史 CVCアジア・パシフィック・ジャパン マネージング パートナー、代表取締役 日本共同代表と高槻大輔 アジアオペレーションチーム プリンシパルに聞いた。
- <目次>
- ポラリスからの株式譲受の経緯
- 経営体制――CVCから4人が社外取締役に
- 調剤薬局のマーケット動向
- ロールアップM&AとIPO
- 6号ファンドが68億米ドルでクローズ――兆円規模の大型投資も
ポラリスからの株式譲受の経緯
―― 2024年2月、CVCキャピタル・パートナーズ(以下、「CVC」)はポラリス・キャピタル・グループ(以下、ポラリス)から総合メディカルグループの株式を取得しました。株式取得するに至った経緯についてお聞かせください。