伊藤忠商事の子会社「伊藤忠アビエーション」は、イスラエルの軍事企業との提携関係を2月末までに終了した。コンプライアンス、SDGsといった観点から地政学的なレピュテーションリスクに率先的に対応する必要性は強まっている。本稿ではそうしたリスクに対応しているグローバル企業動向について解説する。
伊藤忠アビエーションの決定の理由
2024年2月、伊藤忠商事の子会社である伊藤忠アビエーションがイスラエルの軍事企業エルビット・システムズとの提携関係を2月末までに終了すると発表した。伊藤忠アビエーションは防衛装備品の供給などを担っており、日本の安全保障のため防衛省からの依頼に基づき、自衛隊が使用する防衛装備品を輸入するためエルビット・システムズと協力関係の覚書を昨年3月に交わしたが、短期間のうちに関係は終わることになった。
今回の決定について、伊藤忠アビエーションは国際司法裁判所が今年1月、イスラエルに対して、ジェノサイドを防止するためあらゆる措置を取るよう命じたことを踏まえ決定したと明らかにした。
■筆者プロフィール■
和田 大樹(わだ・だいじゅ)
国際政治学者。Strategic Intelligence代表取締役社長CEO。一般社団法人 日本カウンターインテリジェンス協会理事。清和大学非常勤講師などを兼務。国際安全保障論、国際テロリズム論などを専門とし、実務家として海外進出企業への地政学・経済安全保障コンサルティングに従事。テロ対策分野ではこれまでに警察庁や防衛省、内閣情報調査室などへ助言、講演などを行う。
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