小林 隆人(こばやし・りゅうと)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。ハーバードビジネススクール経営学修士(MBA)。三菱商事生活産業グループ、アクセンチュア戦略グループを経て2008年ベインキャピタル・ジャパン入社。2018年マネージングディレクター。大江戸温泉物語、ニチイ学館、GABA、キリン堂HDの社外取締役を務める。
過去最高益のなかでのMBO
キリン堂ホールディングス(HD)が米投資ファンドのベインキャピタルと組んで実施した
MBO(経営陣が参加する買収)が2020年10月下旬に成立し、21年1月6日株式上場が廃止された。
同社は関西圏を地盤とするドラッグストア(DS)で、20年2月期業績(連結)は、売上高が対前期比2.8%増の1332億円、営業利益は同37.5%増の27億円、経常利益は同26.5%増の37億円、当期純利益は同21.5%増の17億円と増収大幅増益となり、売上高、利益ともに過去最高を更新した。21年2月期通期の業績予想についても上方修正し、売上高は前期比2%増の1361億円、営業利益は43%増の39億円、純利益は35%増の24億円を見込むなど、業績は好調で、21年2月期からは第3次中期経営計画がスタートする予定だった。
しかし、DS業界全体を見渡すと、業界5位のマツモトキヨシHD(2020年3月期売上高5905億円)と7位のココカラファイン(同4038億円)が21年10月に経営統合し、単純合算で売上高約1兆円となって、業界トップのウエルシアHD(8682億円)と2位ツルハHD(8410億円)を一気に抜き去るという再編が起こっている。
こうした中で、業界13位のキリン堂HDの創業者である寺西忠幸会長(91歳)、寺西豊彦社長(63歳)は
PEファンドと組むというDS業界ではこれまで見られなかった選択を行った。
SPCには忠幸会長、豊彦社長など創業家が出資、ベインが6割、創業家が4割を保有するという形を取った。忠幸会長、豊彦社長は留任するが、キリン堂HDについて今後どのような成長戦略を描いているのか。ベインキャピタルの小林隆人マネージングディレクターに聞いた。
<インタビュー>
M&Aや連携拡大で、より大きなプラットフォーム形成を目指す
小林 隆人(ベインキャピタル・プライベート・エクイティ・ジャパン・LLC マネージングディレクター)
今後のドラッグストア市場の見通し
―― ドラッグストア業界市場の推移を見ますと、2007年以降拡大を続けています。今後の市場の見通しについてお聞かせください。