[Webインタビュー]

(2025/05/12)

【第181回】<MARR Pro ユーザーインタビュー> 第1回 大和総研

――M&Aアドバイザリー業務に統計情報を活用

田代 大助(大和総研 コンサルティング本部 コーポレート・アドバイザリー部 担当部長 組織再編・グローバルビジネス課長 主席コンサルタント)
田代 大助氏
レコフデータのM&Aデータベース「MARR Pro(マールプロ)」は、1996年以降に日本企業が関わったM&A、M&A関連情報計10万件超を収録しており、M&Aマーケット動向の把握やM&A戦略の立案をサポートするツールとして、M&A業務に携わる実務家や事業会社、研究機関など多くのプロフェッショナルに採用されています。 当コーナーでは、「MARR Pro」のユーザーにインタビューを行い、M&Aの実務でどのようにデータベースが活用されているのかを紹介します。第1回は、大和総研のコンサルティング本部コーポレート・アドバイザリー部で主席コンサルタントを務める田代大助氏に聞きました。
コンサルティングの一環としてFAサービスを提供

―― 田代さんは現在、どのような形でM&Aに関わっているのですか。

 「私が所属するコンサルティング本部では、M&Aの買い手または売り手のフィナンシャル・アドバイザー(FA)として、案件の立ち上げからクロージングまでのプロセスを中心としたアドバイザリー業務を提供しています。 私もその中の一人として、お客様が企業買収や事業譲渡を検討された際にそれを案件化して一定のプロセスにのっとって、デュー・ディリジェンスの実施から意向表明書の授受、クロージングに至るまでのエグゼキューションに係るご支援に主に関わっています」

―― 大和総研の中でM&Aアドバイザリー業務はどのような位置づけにあるのでしょうか。

 「当社は総合シンクタンクとして『リサーチ』、『コンサルティング』、『システム』の各部門が三位一体となってソリューションを提供していますが、中でもM&Aは近年注力している分野です。

 コンサルティング本部では、アクティビスト対応をはじめとする資本市場対応や中期経営計画の策定支援を中心に、お客様の企業価値向上に向けたサービスを展開してきました。M&Aアドバイザリーもその1つとして提供してきたもので、ここ数年はM&A市場の活発化を受けてお声がけをいただくケースが増えていますし、コンサルティング本部としても『企業価値向上のきっかけとすべく従来よりも幅広いM&Aアドバイザリーを提供していく』ことや、『M&Aを起点にその先のPMIコンサルティングにつなげていく』ことを方針に掲げて力を入れてきました。その結果、手掛ける案件数も大きく増加しています」

―― 2013年に「レコフM&Aデータベース」を契約いただき、2024年11月に「MARR Pro」へと移行されました。最初に「レコフM&Aデータベース」を導入したきっかけは何だったのでしょうか。

 「当社のコンサルタントは定期的に外部に向けたレポートを発信しているため、レポート内で使用するM&Aの統計的なデータを社内で整備する必要がありました。

 また、アドバイザーとして案件を執行していく中では、お客様にさまざまな情報提供を行います。その際に『どのような類似案件があるのか』とか『TOBではどのくらいのプレミアムを乗せるのが一般的なのか』といった、案件に活かせる情報を収集するツールが求められていました。導入理由としてはこの2つが大きかったと思います。

 2013年の導入以降、本部内の主力ソリューションはいろいろと変化しましたが、当時から変わらずM&Aアドバイザリーも継続してきたので、長年にわたってデータベースを活用してきました。M&Aビジネスを拡大する過程で、若手や経験が少ないコンサルタントも参画していますから、知見をキャッチアップする上でもこのデータベースは有用だと感じています」

M&Aの統計情報を発信

―― 「MARR Pro」を実務でどのように使っているのか、詳しく教えてください。

 「一言で表すと『M&Aの統計情報』としての利用です。さまざまなタイプのM&Aについて、その件数や金額がどのように推移してきたのか、大局的な傾向をレポートやお客様に提供する資料の中で提示する際に活用しています。例えば『足元でM&Aが活発化しているのはどの業種なのか』を調べたり、買収・事業譲渡・資本参加など『スキーム別のM&A動向』を把握したりする使い方です。

 担当する業務によって必要なデータも変わります。例えば、同じ部署でクロスボーダー案件を担当しているコンサルタントは『どの国とのIN-OUTOUT-INが多いのか』を把握するために利用していますし、最近では、買収防衛策やアクティビスト対応のアドバイスを行うコンサルタントが、同意なき買収やアクティビストファンドが関わった案件の数・金額を把握するために使うケースが増えています。

 他には、案件を担当したアドバイザーも調べられるので、『この性質の案件の場合、実績が豊富なコンサルティング会社や証券会社はどこか』といった傾向をつかむためにも活用しています」

田代 大助氏
―― 「MARR Pro」に切り替えたことで、便利になったと感じる部分はありますか。

 「『同意なきTOB』など、検索機能で使えるキーワードの幅が広がったことで、さまざまな切り口から案件の中身を調べられるようになったという感触は持っています。

 また、新機能として追加された『TDnet』と『EDINET』の開示資料検索はとても便利ですね。従来、開示資料は別途自分で探す必要があったので、『MARR Pro』上で案件情報と直接リンクしているのは非常に有用だと感じます。

 M&A速報も必要に応じてチェックしています。いまどのようなM&A案件が出てきているのか、自分たちでニュースを見ながらまとめるのはリソース的にも難しいので、ある程度まとまった形で共有してもらえるのは大変助かっています」

―― 「MARR Pro」では検索・集計結果を自動でグラフ化する機能も追加しています。

 「条件を入力すれば自動でグラフが出てくるので、これまで自力でやっていた作業を手短に済ませられるようになりましたね。

 一方で、便利な機能に頼り過ぎてしまうと、自分の頭の中や肌感覚として残っていかないという考えもあります。レポートで使用する統計グラフなどについては、Excel形式でダウンロードした後、自分の手を動かしながら作らなければいけないとも思います」

―― 外部向けのレポートはどのくらいの頻度で発信しているのですか。

 「本部全体では年間40本程度のレポートを発信しています。そのうちの半分ほどで『MARR Pro』のデータを直接、もしくは内容の検討や検証等で使用しています」

―― データに対するお客様からの反応はいかがですか。

 「例えば、『TOB案件でどの程度のプレミアムをつけるのが妥当なのか』を説明する場合、根拠として過去のプレミアム水準を統計的に提示できますから、ご納得いただくための材料になっていると思います」

―― 本日は、どうもありがとうございました。

(聞き手 レコフデータ 営業部)
MARR Pro(マールプロ)

「MARR Pro(マールプロ)」は、レコフデータが収集・蓄積するM&A 案件情報を、用途や目的に合わせてさまざまな条件で抽出し、分析できるM&Aデータベースです。

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