MBOを実施する企業が増えている。ほぼ全社が少数株主に対し、MBOを目的にした
TOB(公開買付け)への応募を推奨している。本稿ではなぜ各企業がMBOに踏み切るのかの理由を表にまとめたが、最近の傾向からは上場を続けるメリットが薄れていることが分かる。
MBOが批判されていた過去
MBOは毎年、何社かが実施している。今年、特に話題になっているのは、2023年11月に大正製薬ホールディングス、ベネッセホールディングスという著名企業が相次いで大型MBOの計画を公表したためだ。
図表1は「MBO」という単語を含む記事が1年間に日本経済新聞電子版に何本登場したかの推移を示している。2024年は7月28日に143本を数えているが、年末までこのペースで推移すると、年間で250本前後になりそうだ。2011年に記録した219本を上回る可能性がある。
■ 筆者履歴
前田 昌孝(まえだ・まさたか)
1957年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年に証券部に配属。97年から証券市場を担当する編集委員。この間、米国ワシントン支局記者(91~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。日経編集委員時代には日経電子版のコラム「マーケット反射鏡」を毎週執筆したほか、日経ヴェリタスにも定期コラムを掲載。 22年1月退職後、合同会社マーケットエッセンシャルを設立し、週刊のニュースレター「今週のマーケットエッセンシャル」や月刊の電子書籍「月刊マーケットエッセンシャル」を発行している。ほかに、『企業会計』(中央経済社)や『月刊資本市場』(資本市場研究会)に定期寄稿。