コロナショックが日本企業に突きつけた改革への要求
世界的に広がったコロナショックは、国・地域を問わずすべての産業に対して急激な事業環境変化をもたらしている。これらの変化は、一時的な変化に留まらず多少の揺り戻しはありつつも抜本的な事業構造・生活様式の変化にいたる可能性があり、これらに端を発して企業としての「存在意義」が問われる状況が生じている。
また、これらの事業構造変化と並行して日本においても“もの言う株主(
アクティビスト)”の存在感は高まっており、アクティビストによる2020年度の株主提案数は過去最高を更新している。
このような環境下において、企業としての存在意義追求に資するとともに、アクティビストからの様々な要求に対して合理的な説明が可能な事業ポートフォリオマネジメント(事業構造改革)の重要性が高まっている。
日本企業のROEは改善傾向も、機関投資家からの期待には依然として届いていない
まずは、日本企業におけるROEを見ていきたい。東証一部上場企業におけるROEは、2001年度の平均1.6%から2018年度には同8.3%となり、着実に改善傾向にあるといえる。尚、世界的な新型コロナショックによる業績落ち込みが生じた2019年度は収益力が低下し、約7年ぶりの低水準となった。
一方で、一般社団法人生命保険協会によるアンケート調査では、機関投資家が中長期的に望ましいと考えるROE水準は10.0%以上と答える割合が最も多く、着実に改善傾向にあるもののまだまだ機関投資家が求める水準には届いていないといえる。
日本企業における低ROEの要因は大規模コングロマリット企業における低い営業利益率
ここから日本企業においてROEが低い要因について深堀りしていきたい。まず、売上高が100億円以上の企業におけるROEを地域別に比較してみると、北欧や欧州に留まらず中南米や中東アフリカと比較しても、日本のROEの低さは顕著である。
次に、日本企業における低ROEの