1 はじめに 2025年6月6日、「円滑な
事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律」(以下「早期事業再生法」という)が成立し、2026年中に施行される。早期事業再生法は、早期かつ迅速な事業再生のさらなる促進のため、長年「全員同意」が前提とされてきた
私的整理に多数決原理を導入する画期的な新法といえる。早期事業再生法の登場により、日本における事業再生は2000年の
民事再生法の施行以来の転換点を迎えることとなる。
早期事業再生法は、既存の私的整理をベースにしながら、金融機関等から構成される債権者の多数決原理及び最小限の裁判所関与を盛り込むものとなっており、主として中堅・大企業向けの私的整理の新たな手法となることが見込まれ、事業再生フェーズの対象会社のM&Aにも影響を与えることとなる。
本稿では、現在の事業再生手法(私的整理)を説明し、これらと対比しながら、新たに施行される早期事業再生法について解説する。
■筆者プロフィール■

石田 渉(いしだ・わたる)
森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士・ニューヨーク州弁護士
2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院修了、2011年弁護士登録、2017年ニューヨーク大学ロースクール修了、2017年McDermott Will & Emery法律事務所(ワシントンD.C.)執務、2018年ニューヨーク州弁護士登録、2020年NEXs Tokyoメンター、2022年中小企業庁 認定経営革新等支援機関認定。
債務者・債権者・スポンサー側等の各立場から国内外の事業再生・M&A・危機管理等の案件を取り扱っており、豊富な経験・知見を有する。また、コンサルティングとして事業戦略・M&A戦略の立案・遂行を支援した知見も踏まえ、中小企業から上場企業・大企業まで再生・M&A・危機局面の企業を支援している。
受賞: The Legal 500 Asia Pacific 2025(Next generation)、The Best Lawyers in JapanTM (2025 edition)ほか多数。
著書:「私的整理における既存株主の取扱い―直近実例を踏まえて」(共著)NBL1241号(2024)、「成立事例にみる中小企業版事業再生ガイドラインの実践的活用」(共著)事業再生と債権管理36巻4号(2023)ほか多数。