藤田宗義 ブラックストーン・グループ・ジャパン プライベート・エクイティ部門 マネージングディレクター(左)、山本直英 同 ポートフォリオ・オペレーション部門 マネージングディレクター
ブラックストーンは、傘下の買収SPCを通じて、日本有数のSMO(治験施設支援機関)であるアイロムグループ(以下アイロムG)の創業者で代表取締役社長の森豊隆氏と共同でアイロムGの
MBOによる
非公開化に向けた
TOBを実施し、同社は2025年5月12日をもって東京証券取引所プライム市場を上場廃止となった。また、ブラックストーンは同年3月にシミックホールディングス(シミックHD)とCRO(医薬品開発業務受託機関)事業における戦略的資本提携で合意し、シミックHD傘下のシミックの株式60.0%を取得した。
アイロムGは、1997年、SMOを目的にアイロムとして設立。その後、2015年にアイロムグループに商号変更した。2005年東京証券取引所市場第一部に株式を上場、2022年4月に東京証券取引所プライム市場に移行した。EPLinkに次ぐ国内2位のシェアを持つSMO事業だけでなく、CRO事業、医薬品や医療技術等の研究開発・受託製造、iPS細胞培養や細胞バンクサービス及び化粧品等に応用した先端医療事業、クリニックモールの運営などサービスの多角化も進めてきた。
一方、シミックは1992年に三共(現第一三共)を退社した中村和男氏(シミックHD代表取締役会長CEO)が、日本で最初にCROビジネスを開始した草分け。1994年には同業4社が発起人となり日本CRO協会も設立している。
コアビジネスであるCROをはじめ、SMOやCDMO(医薬品開発製造受託機関)などを展開。2005年東京証券取引所第一部(現プライム市場)に上場、2012年持株会社制へ移行し、シミックHDへ商号変更した。順調に業績を伸ばしてきた同社だったが、2023年9月期の連結決算は、売上高が前期比3%減の1047億円、純利益は15%減の71億円となり、国内は薬価引き下げによって治験の減少が見込まれるとして2024年3月、MBOによって非上場化。さらに、今回ブラックストーンをパートナーにグループのCRO事業を担ってきたシミックの再成長を図る決断を行った。
アイロムG、シミックという治験会社大手と相次いで戦略的資本業務提携を実行したブラックストーンの担当者に、その狙いを聞いた。
<インタビュー>
営業体制強化、グローバル投資先企業との連携、人事制度など組織改革を進め、IPOを目指す
藤田 宗義(ブラックストーン・グループ・ジャパン プライベート・エクイティ部門 マネージングディレクター)
山本 直英(同 ポートフォリオ・オペレーション部門 マネージングディレクター)
- <目次>
- 治験領域、創薬領域でグローバルな実績
- アイロムG、シミックへの投資の経緯
- 株主構成と役員
- アイロムGとシミックのビジネスモデル
- 世界4位に落ちた日本
- 支援の3つの柱
- 経営のプロ人材を招聘
- 1桁後半以上の成長率を目指す
- トランプ関税の影響
- 今後のロールアップ戦略