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2017年9月号 275号

(2017/08/15)

事業承継対策におけるバイアウトファンドの活用機会

 木俣 貴光(三菱UFJリサーチ&コンサルティング コーポレートアドバイザリー部 部長)

  筆者は、大手金融グループのコンサルティング会社の一員として、M&Aのほか、中堅企業を中心とした事業承継対策の立案・実行も数多くサポートしている。その中で、経営資源に限りのある中堅企業が、単なる相続税対策ではなく、事業の成長や経営力強化に資する事業承継対策の一環として、バイアウトファンドを活用することの有用性を感じることも多い。そこで本稿では、バイアウトファンドがターゲットとするような優良中堅企業において行われている事業承継対策を取り上げながら、その中でバイアウトファンドを活用する機会について述べていきたい。

存在感を増すバイアウトファンド

  団塊の世代が65歳に到達し、大量の退職が出ることで、労働力不足や職場における技術・ノウハウの継承に支障が出ることが懸念された「2012年問題」。それは、企業の経営層にもそのままあてはまる。一般に、オーナー経営者は、65歳~75歳の間に引退することが多い。そのため、2012年からの10年間は、多くのオーナー企業にとって事業承継問題が重大な経営課題となろう。現に、2012年以降、後継者不在を背景としたM&Aは増加しており、その傾向は少なくともあと5年は続くとみて間違いない。
  そうした中、バイアウトファンドによる日本企業への投資も活発化している。バイアウトファンドの組成金額も拡大している(数千億円規模の資金が集まっている)一方で、近年は特に、中堅オーナー企業の事業承継の案件が増えつつある。今後、事業承継を背景とした非上場企業のM&A市場においても、バイアウトファンドの存在感はますます高まっていくものと思われる。

最もポピュラーな事業承継対策:持株会社制移行

  中堅企業が最も多く採用している事業承継対策は、持株会社制移行である。この対策の主眼は、持株会社を設立し不動産等のグループ共有資産を集約化させることで、グループ経営の効率化を図ると同時に、次世代に株式を承継しやすくすることである。この手法では、通常オーナー家が保有する株式の換金化は基本的に行われない。そのため、オーナー一族内で株式が分散している場合は、その集約は実現できないままとなる。
そこで、オーナー一族内での株式の集約や換金化も志向する場合、エグジットをオーナー一族による買戻しを前提としてバイアウトファンドを活用することも考えられる。いわば、大政奉還型のバイアウトスキームである(図1)。ファンドとしては、レバレッジをかけることで一定の利回りを確保することができることから、スキームの提案時に、ファンドが出資したSPCが取得した金額と同額で再びオーナー一族に売却(エグジット)することをアピールするバイアウトファンドもある。
  このスキームのメリットとしては、オーナー一族による株式の集約化や換金化のほか、ファンドの投資期間に経営管理体制の整備や新たな販路拡大など、ファンドの力を借りながら後継者への経営承継をスムーズに行うための準備を整えることができる点にある。

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