―― ユニゾン・キャピタル(以下ユニゾン)は、日本におけるバイアウト投資のパイオニアとして1998年の設立以来、一貫して日本における中堅企業への投資を行う独立系の投資会社ですが、2020年3月に共同代表制に切り替え、創業トップだった江原伸好氏が退任し、江原氏とともに1998年に同社を創業した林竜也氏と川﨑さんが共同代表となりました。
「江原さんも、元々どこかの時点でバトンタッチということは考えておられました。そのひとつのきっかけが、4号ファンドから5号ファンドに移行するタイミングでした。ファンドは10年という長期間の契約を出資者との間で結びますから、区切りの良さを踏まえながら決断されたのだと思います」
国内外の投資家に高まるPEファンドへの期待
―― 今お話が出ましたが、2015年に設立を完了した前回のファンド(700億円)に続いて、20年6月30日付けで「ユニゾン・キャピタル5号投資事業有限責任組合」(以下5号ファンド)を設定し、総額800億円規模を目指していますが、クローズはいつですか。
「2021年6月の調達完了を目指しています」
―― 現在、新型コロナ禍に見舞われていますが、出資者の募集状況はどうですか。日本の
PEファンドに対するグローバルな投資家の期待感も相当高まっているという話も聞きます。
「たしかに、グローバル、特に北米などの大型の年金、あるいはそれに準ずる投資家の中にはオルタナティブ・アセットへの関心が高まっています。
日本のM&A市場は、東日本大震災の前後数年は波がありましたが、今回は新型コロナ禍という谷を乗り越えた後のことを見越しているのだと思います。
また、国内の投資家層についても、リーマンショック直後は投資金額が落ちましたが、今はすそ野が随分広がっていて、当時はLPになっていなかったような金融機関、団体からの資産運用ニーズも高まってきていると見ています」
ヘルスケア・消費者関連・B2Bサービス分野への投資に注力
―― 今回の5号ファンドの投資方針を聞かせてもらえますか。...
■かわさき・たつお
1990年ゴールドマン・サックス証券会社入社。投資銀行部門において、不動産金融及び企業金融プロジェクトに携わる。93年ハーバード・ビジネス・スクール留学(MBA)後、マッキンゼー社の東京とサンフランスコオフィスにおいて戦略コンサルタントに従事。その後、米国 NextCard, Inc.でベンチャー企業の立ち上げからIPOにかかわる。98年ユニゾン・キャピタル株式会社設立に参画。99年パートナー就任、2004年取締役就任、19年5月代表取締役就任(現任)。