[M&Aスクランブル]
(2018/08/22)
本サイトにも複数のレポートが掲示されているが、ベンチャー投資(ベンチャー企業に対するM&A)が急増している。従来、ベンチャー投資と言えば、ベンチャー・キャピタルやCVCによる少額出資が多かったが、2016年以降、事業会社が直接投資するケースが増加してきた(図表1参照)。
レコフデータではM&Aを、合併、買収、事業譲渡、資本参加、出資拡大の5つの形態に分類している。原則として、「合併」は合併または持株会社による経営統合、「買収」は50%超の株式取得、「事業譲渡」は資産などからなる事業の譲渡、「資本参加」は50%以下の株式取得、そして、「出資拡大」は資本参加した当事者による、50%以下までの株式追加取得を意味する。筆者が2012年~2018年上半期のベンチャー投資における形態を調べたところ、資本・業務提携や少額出資を示す「資本参加」及び「出資拡大」の割合が圧倒的に多く全体の91%を占めていた。
しかし、最近では事業会社が買収や合併を通じてベンチャー企業の経営権を取得する例が増えている。図表2は日本のベンチャー企業に対する投資(IN-IN、OUT-IN)の中で、事業会社が買収または合併した件数の推移であり、2017年に大幅に増加。2018年も上半期28件となり前年同期に比べて5件増えた。
[図表1] ベンチャー投資 買い手別件数推移
[図表2] 事業会社による日本のベンチャー企業の買収・合併(IN-IN、OUT-IN)件数
安倍内閣が2013年~2016年に発表した「日本再興戦略」には、毎回、イノベーションの担い手となるベンチャー企業の重要性が盛り込まれ、ベンチャー育成に向けて大企業との連携・共同研究等を促進するとされてきた。
これを受けて経済産業省は2017年に「新産業構造ビジョン」を発表し、また、2017年~2018年には2回にわたって「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き」(以下「手引き」という)を発表した。
新産業構造ビジョンは、「第4次産業革命の鍵となるテクノロジー系ベンチャーでは、従来のネット系ベンチャーに比べ、プログラマー等への人材投資に加えて設備や実機への投資が必要であり…
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